08/08/2008

父入院の件

今週の月曜日、父が入院した。手術は翌日の朝に行われた。詳細はここに書く必要はないので省くが、上がらなくなった左肩をあがるようにする内視鏡手術で、2時間ほどで問題なく終わった。

大変に難しい手術というわけではなかったけれど、全身麻酔での施術ということで、家族の付き添いが求められた。本人の意識はなくなるので、何か起こった時に判断を下す人間が必要という道理。

判断をゆだねることのできる身寄りのない人が全身麻酔をする時は、どうするのだろう? 例えばこれから数十年後、自分がそういう手術をすることになったとしたら、付き添ってくれる人がいるだろうか。

手術室から出て来る直前に意識は回復していたようで、部屋に戻ってから一時間弱、鎮痛剤が効いてくるまでは非常に痛そうにしていた。どのくらい痛そうだったかというと、それはもう、テレビでもあんなに苦しんでいる人間を見ることはあまりない、というくらい苦しそうだった。

息は荒く、時々咳こんで、「痛い」という以外の言葉を考えられないくらいの痛みだったようだ。自分だったら、こんな痛みをするくらいなら死んだ方がいいと思うくらいかもしれない。

痛みが落ち着いて来ると同時にヴォキャブラリも徐々に回復し、闇討ちの侍に後ろから切られた傷を、肉食恐竜の爪で抑え込まれているような鈍痛、というような喩えで会話ができるようになった。父の姉と姪っ子(僕から見るとおばさんと従兄弟)が鎌倉から来てくれていたのも助かった。

鎌倉のおばさんが、女の人がお産をする時はそういう痛みかそれ以上のものが20時間近くのだ、と言うと、「嘘だよ〜」と父は呻きをあげた。自分の痛み以外は感じられないが、それが幸運な時と、都合の悪い時とがあるように思う。

手術の数時間後には大分痛みも治まったようだった。次の日にはリハビリが始まった。この進行具合で退院がいつになるか決まるが、何分運動不足な父のことなので2週間はかかるという。僕だったらもっとかかるかもしれないが。しかし、週末の外泊許可はさっそくでたということなので、経過は順調と理解している。

仕事があったり、(扶養)家族がいたりすると、病気を治す理由や責任といったものがでてくる。それで、治療が痛みを伴うものでも我慢する、ということになる。また、自分の理想や目標のために痛みに耐えるということもある。小泉元首相が「痛みに耐えてよく頑張った」と貴乃花に言ったのは、そういう心意気に感動したからだろう。

エピキュリアンな僕としては、理想や目標などというものはそもそもないし、痛いのは絶対に嫌だ。だから、痛みに耐えて頑張ろうという気持ちにはなれないだろう。痛みをいかにして避けるか、という話になる。だから、社会的責任もできるだけ持ちたくないし、恋人や家族も持たない方がよい。理論的にそういう結論になる。

自分がいなくなる時の社会的損失や悲しむ人の数をできるだけ少なければいい、というのが僕の願いということになるのだろうが、困ったことにこれは身勝手でわがままな願いということになってしまう。

わがままだけれども、だいたい今のところは、僕に関しては、こういう状態は着実に実現しつつある(幸運にも?)。少なくとも自分ではそう感じる。あと20年くらいすれば、僕がどこかでのたれ死にしても、蚊が一匹死んだくらいのことにしかならなくなっているかもしれない。

posted by Yuuki at 06:12 | Comment(2) | TrackBack(0) | Journal/Gibberish
Comments to this post
家族でも恋人でもなけりゃ変な意味も特に無いけれど
アナタが死んだらきっと私は悲しみます。

もちろん日々を泣いて過ごし
終いには後追いしようなんて微塵も考えないでしょうが

でも私が逆に死ぬ立場だったら同じ様な理由で
悲しむ人は出来るだけ少ない方が良いって思うかも。

お父様、お大事に!!経過が順調で何より





Posted by 馨 at 08/08/2008 11:50
>馨
そう言ってもらうとまあ嬉しいというか、困惑してしまいます。知人・友人が亡くなったら悲しむ(“喪に服す”)というのは社会的にごく正常なことですが…。

今は親も生きてますし、知人もいますのでそういう話になりますが、10年、20年、30年(そこまで生きればの話ですが)とたてばどうなるかわかりません(当たり前のことですが)。

毎日いろいろなことを忘れるのですが、何を忘れるのか自分で知れないのは不便なことですね。
Posted by Yuuki at 08/09/2008 11:52
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