07/26/2006

【mixi機能要望】「正義」は顔の見えない人々の間で釣れるか?【倫理】

「 mixi機能要望 」サービスいろんな意味で大変なことになってる。サービス開始数日でこんな展開になるとはさすがに中の人(=運営)も予測していなかったっぽい。

なんて言ったらいいのかな…とにかく一度にめちゃくちゃたくさんの人が意見を持ち寄って集まると大変なことになる、ってことなんだけど。

基本的な流れとしては、
(1)いろんな意味できわどい要望が投稿される。
(2)評価欄で「悪い」が並ぶ。コメントも厳しいものが増える。
(3)起案者のページへのアクセス急増。要望と関係ないところで日記などの批判がされる。
(4)起案者がメッセージなどで報復。アクセス禁止のかけあいになる。
(5)元の要望とはあまり関係ない誹謗中傷のかけあいになる。
(6)冗談半分のネタ投稿や重複投稿など本筋から外れた要望が乱立。
(7)(1)に戻って繰り返し。
って感じ。

何がこういう展開を招いたか。一つには評価に付加できるコメントが50文字までの制限になっていることだと思うんだよね。これによって評価がとても短くぶっきらぼうになって、しかもどんどん気軽につけられるようになる。また一度にたくさんの人が評価をつけるので非匿名性が薄れてくる

結果としてこのサービスの評価欄が半分「2ちゃんねる」のようになってる。この「半匿名電子会議(semi-anonymous online discussion)」ともいうべき状態は(こういうと中の人に気の毒だけど)実は非常に興味深い。

もともと「mixi」ユーザと「2ちゃんねる」ユーザの関係はなかなかおもしろいものがあって、双方に双方のいわゆる「アンチ」が存在する。前者は後者の匿名性、幼稚さを批判し、後者は前者の「馴れ合い」の偽善性を批判する。もちろんこれはあくまで一部のユーザの話で、どっちも使う人もたくさんいるだろうし、どっちも使わない人もたくさんいる。僕はどっちも好きです。

それで、このサービスの利用者の間でなんとなくだけど「派閥」のようなものが形成されたり、「正義」と呼べるような意識があらわれて来たりする。もちろん中立派もいれば、「どっちもどっち」といってなだめようとする人達もでてくるけど。とにかく、自分に直接的な害がないような他のユーザの行動であっても、「同義に反する」というような感じで批判しようって意識があらわれてくるってこと。

この「倫理的意識」の発生の過程が個人的にとてもおもしろい観察対象だと思うんだよね。自分への利害・損得の計算だけでは説明のつかないような「正義感」が感じられる。なにがそうさせるのか。

同じSNSの会員っていうとても奇妙な形でのつながりをもった人がとてつもない数で議論する。なんとなく小学校のクラスの中で、最初は権力を持っていたいじめっ子がだんだんと批判されて最終的には失脚する、そんなプロセスに近いものもある。

もともと「2ちゃんねる」内部での特殊な語法(スラング)の発達は言語社会学的に考えて興味深いモデルだろうなと思ってた(自分で研究するつもりにはさすがにならないけど)。「ネット倫理」って言葉は膾炙してきてるけど今の「 mixi機能要望 」サービスの状態は倫理学(哲学)的にもなかなかおもしろいものかもしれない。「反社会的な行動」の定義、それを排斥せんとする集団心理の働き、具体的なストラテジーの形成、そして正義への意識の発生…などなど。

もっと僕の興味のある分野から言うと、こういう場での言葉使いの微妙な変化とか流れとかを上で言った倫理的意識に関連づけていくとおもしろいと思う。それから、機能を逆手にとったような「ネタ的」投稿だとか、またそれに対する反応とか。この辺はインターネット倫理のなかでも多分ニッチな分野だと思うんだけどなぁ。…まぁじゃあ自分で開拓しろよって話だけど。

mixi内ではまだ「mixi機能要望 」に関するコミュニティはできてないみたいだけど、これはそのうちできるんじゃないかと思う。2ちゃんねるでは「ソーシャルネットワーキング版」で「mixi」で検索すると関連スレッドがかなりヒットする。特に以下を参照:mixi機能要望ヲチスレ



posted by Yuuki at 22:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | On Technology
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