03/31/2007

働かざるもの生きるべからず

ちょっと用事があって久しぶりにmixiを覗いてみたら、多くの同級生が就職活動に奮闘しているようでした。忙しくも充実した日々――なんの皮肉も抜きで、カッコいいなぁ、素敵だなぁ、と思います。

それに比べて、僕は一体何をしているのでしょう?

「どうして働かなくてはいけないの?」と考えることは、いろいろな意味で嫌らしいと思うのですが、僕はどうしてもこの問いを無視することができません。この問いの裏側には、なによりもまず、働くことに対するほとんど生理的な嫌悪感があります。働くのは面倒くさい、つかれる、嫌だ、という気持ち。

多くの人は次のように言うでしょう。人は誰でも、生きていく上で、社会によって保護され、奉仕され、様々な利益を得ているのだから、働くことによって社会に恩返しをすることは当然の義務である、と。

僕はこれはまったくもって正当な意見だと思います。ただ、これを理解することと、働きたくないという気持ちを変えることとは別の問題です。

上の意見に反対して、誰かが次のように言ったとします。私は別に生まれたくて生まれてきたわけじゃないから、社会に恩を着せられる筋合いはない。ありがた迷惑とはこのことだ。だから、私には社会に恩返しする義務などない、と。

これに対する正常な返答は、次のようなものでしょう。すなわち、そんな人間には社会の中で生きる資格などない。誰も生きることを選んで生まれてきたのではないのだから、あなたはただ自分勝手にわがままを言っているだけだ…。

僕はこの返答も筋の通ったものに感じます。問題なのは、このことを頭で理解しても、それでも僕は働くことに対する嫌悪感を少しも払拭することができないということです。

ここで、人は僕にこう言うかもしれません。君がそう感じるならば仕方ない。働くのが好きであろうが嫌いであろうが、結局働かなくてはいけないのは変わりがないのだから、ぐちぐち言うのはやめて黙って働いた方が得だよ、と。

僕がここで感じるのは、そこまで我慢をして生きる必要がはたしてあるかなぁ、という疑問です。どうせ(僕の)人生に意味や価値なんてないのだから、好きでもない仕事をして何十年も生きていく理由ってなんだろう?、と不思議に思います。

(働くことの話から急に生きる理由の話になって、論理が飛躍したと思うかもしれませんが、回り道をしても、結局行き着くところは同じように思われます。)

そして、どうしても生きなければいけない理由というのは、結局僕には見いだせないのだから、自分の好きなことをやれず、苦しい思いをして長く暮らすよりは、早めに死んでしまったほうが、無駄な我慢をしなくて済む分いいかなぁ、という風に感じます。

もちろん僕は、生きるためには何か「理由」がなければいけないと言っているのではありません。(むしろ理由のない人生のほうが面白味があるでしょう。)ただ、あらかじめ定められているような理由が人生に存在しないとしたら、生きることが面倒くさくなったり、おもしろくなくなったりしたら、そこで死んでしまえばいいだろう、ということです。

* * *

僕はいつ死ぬのか、いつ死ぬのが良いのか? 40歳になったときか、33歳か、25歳か、それとも明日か? …そういうことを、まるで他人事のように、僕はよく考えます。それで、上に書いたようなことを考えてるみると、学生生活が終わってすぐ死んでしまうというようなシナリオも充分あり得るように思えます。

そして、まるで他人事のように、こう考えるのです。学生生活が終わるのってもうすぐだなぁ、でもそうやって死ぬのはなんとなく怖いなぁ、と。

posted by Yuuki at 15:45 | Comment(4) | TrackBack(0) | Journal/Gibberish (-Spr. 07)
Comments to this post
働くこと=嫌なことをすること

ではなくて、

働くこと=
好きなことをする
やりたいことをする

と考えた場合はどうなるんでしょう・・・?
Posted by marimo at 03/31/2007 21:42
>marimo
鋭い質問です(bonne question!)。確かに、もし「働くこと=好きなこと、やりたいことをすること」というのが正しければ、本文の議論はまったく無効になります。

ただ、本当にそうやって「働くこと」を「好きなこと、やりたいことをすること」として考えることができるか、というと、これは難しいと思います。僕の印象では、そのように考えるのは、良くて「便利な思い込み」か、悪いと「論理的矛盾」です。

こう考えるのには、大きく分けて二つ理由があります。

一つ目は、実際的な考察によるものです。まず、もちろん誰も、みんながみんなやりたいことを仕事にできる、とは考えないでしょう。社会の仕組みと仕事の種類・性質からして、自分の「好きなこと」を「仕事にする」ことができるのは、ほんの一握りの人達です。

さらに、「好きなこと」を「仕事にする」には、様々な条件が満たされなくてはなりません。自分の「好きなこと、やりたいこと」がなんなのか、に加えて、能力、才能、努力、雇用状況、資産、等々(これらは僕に言わせれば全部「運」の問題ですが)…これらすべてが揃ってはじめて、「好きなこと」を「仕事にする」ことが可能になるわけです。

というわけで、多くの人にとっては、「働くこと=好きなこと、やりたいことをすること」という等式は、実際問題として成り立たないのです。

もう一つの理由は、分析的な考察によるものです。ここでは、「仕事」を(a)行為の内容と(b)行為の機能からなりたつものとして考えることにします。この枠組みによって、例えば、アマチュアの写真愛好家とプロの写真家を比べると、行為の内容(=写真を撮ること)は本質的に同じですが、行為の機能は異なることがわかります。

つまり、前者は、単純に自分の嗜好を満足させるために写真を撮っているわけですが、後者は写真を撮ることで社会に奉仕している(価値を還元している)のです。ある行為が「仕事」なのか「趣味」でしかないのか、という違いは、このような社会的機能の有無によって決まります。

ここで、「私は写真を撮るのは好きだが、自分の撮った写真で社会に何らかの意味で貢献しようという気持ちはまったくない、つまり写真を仕事にするつもりはない」というような意見を持っている人を考えると、明らかに、このような人にとっては、「働くこと=好きなこと、やりたいことをすること」という等式は成り立たないことがわかります。

つまり、仕事の内容が自分の好きなことの内容と同じだからといって、この二つの行為が同じものになるわけではない、というわけです。

もっと極端な話をすれば、「僕は働かないでなんとなくだらだら生きたい。それが僕の好きなことで、やりたいことだ」と言う人がいたらどうでしょう? この場合、「仕事をする=好きなことをする」と「好きなことをする=仕事をしない」という二つの等式から「仕事をする=仕事をしない」という矛盾が発生してしまいます。

以上の考察から、「好きなこと、やりたいこと」を「仕事」にする、というのはどうにも疑わしい考え方であることが結論されます。

* * *

さて、世の中では上のような物言いを「屁理屈」と呼ぶわけですが…でも屁理屈だって理屈です(ああ、これが屁理屈か・笑)。

僕の観察してきたところによると、それでも、大抵の若い人は、「自分は自分の好きなことを仕事にしているんだ。そして、仕事をして社会に貢献することは、人間としての義務だ。だから、働くことはやりがいがあり、楽しいことだ」という風に繰り返し自己暗示して、「働くこと=好きなこと、やりたいことをすること」であると思い込むことに成功しているようです。

この記事のポイントは、そういう思い込みができない人はどうすればいいのか、ということと、我慢してまでそう思い込む理由ははたしてあるか、ということです。

上の(屁)理屈からもわかるとおり、僕はこの思い込みが理性的に弁護されうるものだとは思いません。しかし、この思い込みがいけないことだと言っているわけでもありません。むしろ、大多数の人のこのような思い込みによって、社会はなりたっているわけです。

Baudelaireが指摘しているように、(一部の)人間にとって一番厄介な怪物は「ennui」でしょう。このどうしようもなく自分勝手な倦怠感があるかぎり、働くことを進んで望むこと、そして「働くこと」を「自分の好きなことをすること」として考えること、は、理詰めで考えるとどうにも不可能なように思います。
Posted by Yuuki at 04/01/2007 06:05
>繰り返し自己暗示して、「働くこと=好きなこと、やりたいことをすること」であると思い込むことに成功しているようです。

あはは、確かに。
基本的にぼけーっと生きているのが楽だもんね。
けど社会を成り立たせるには自己暗示も必要ですね。

太田くんは哲学者になるべきだね・・・そして講義とかするんだろうなぁ。でも、ひねくれ者と思われるかもね・爆
Posted by marimo at 04/08/2007 11:13
>marimo
うん。だれでも間違ったことを信じるより正しいことを信じるほうがいいと直感的に考えるから、「思い込み」ってネガティヴに解釈されやすいけど、いろんなことを思い込まなきゃ生きてけないもんです。それに、自分の嗜好や思考に関することだったら、思い込むことで本当になることもたくさんあるし。(参照・ウィリアム・ジェームス)

まぁ僕が哲学者になれるかどうかはわからないけど、哲学なんてやってる人は大抵はひねくれ者のように思われます(笑)。
Posted by Yuuki at 04/08/2007 16:31
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