今ちょうど朝の三時をまわったところで、あと7時間半ほどで、夏休みの間荷物を預かってもらう倉庫の業者さんがくるのですが、さっきようやく本が大体片付いてきたかな、という進行状況(笑泣)。
とにかくぼくは「もの」を持ち過ぎです。捨てる技術ってものをまったく持ちあわせていない。心が極度に貧しいので、昔からそうなんです(いつまでもうじうじ未練たらたらだし)。だから、留学生なのに、持ち物は年々増える一方。本当に困った人です。来年の今頃、大学を卒業するときは一体どうするんでしょう? 考えただけでぞっとします(だから考えません)。
特に本が大変なんですねぇ。(他の専攻に比べると)授業でたくさん読むので何もしなくてもどんどん溜まるし、なんとなく捨てられないし、重いし…
伊集院光氏が最近ポッドキャストで、仕事場として借りていたアパートを最近引き払ったという話をしていて、やはり大量の本の処理に困っているそうです。
すっごくわかるな、と思ったのですが、氏曰く、必要なものといらない本に分けて、いらない本は捨てろといわれても、それじゃあ「いらない」とはなんだ、って話になると。
例えば、昨日買ったばかりのマンガだって、もう読んでしまったのなら、ある意味ではもういらないわけです。でも、昨日買ったから、という理由だけでとっておこう、ということになる。
読み返す可能性のない本は捨てろ、という意見はよくわかるのですが、読み返す本なんて本当はほとんどないんです。別にどうしても必要な本なんてそうそうないわけで、そんな基準だと一冊捨てたら全部捨てなきゃ、って話になってしまうのです。
そうなんだよねぇ、と激しく同意しながら聞いてました(笑)。僕だって、生活の中で不必要なものから捨てていきなさい、って話になったら、きっと自分の命から捨てることになるでしょう。すべての無駄の根源であり、一番無駄なのは明らかにこれなのですから。
はぁ〜あ。
もう一つ、この話題に関連しておもしろかった伊集院氏の話。上にも書いたように、仕事場を引き払ってしまったので、彼はそれまでそこにあった大量の本を自宅に持ってきたそうです。で、置いておく場所がないので、収納効率の悪いスライド書棚を捨てることにした、と。
で、その書棚って言うのは、彼が今の家に引っ越してきた時にわざわざ業者にロープで吊って三階に入れてもらったという代物で、いざ捨てるとなると、粗大ゴミの料金に加えて業者をまた雇って部屋から出さないといけないわけです。
それで、伊集院光としては、ものを捨てるのにお金を払うほど嫌なことはないということで、電機のこぎりでばらばらの木片にして普通のゴミとしてだそうとしたんですって。
それで、苦労してやっと本棚をばらばらに切断して、普通のゴミ袋にいれてだそうとしたら、回収の人に「それは本棚だから家具をゴミに出すときの料金を払って下さい」と言われたそうです。
伊集院氏としてはもちろん、「いやいや、どうみてもこれはただの木片だろ」という主張になるわけです。すると回収業者は「いえ、もともとは本棚だったわけですから」と言ったらしいんですね。で、そういわれると伊集院氏としては納得いかないわけで、「ちょっと待てよ、“もともと本棚だった”なんてていう話をはじめたら元々はどっかの山に生えてたパインツリーかなんかだろ! なんで“本棚”っていう都合のいい段階で区切るんだ!」とお怒りでした(結局もっと細かい木片にしたようです)。
この話は実は哲学的に非常に深くて、問題はどこまでがただの木片で、どこからが本棚か、ってことです。石の彫像の一部が欠けても彫像は彫像のままですが、粉々に破壊してしまえば、彫像を形作っていた同じ石は残りますが、彫像はなくなってしまうのです。これはいったいどうしたことか。
うちの大学のメリックス教授は、こういった事柄を考えた結果、彫像、本棚、机、椅子などの一般的な物体というのは実は存在しない、という結論に達しました。彼によれば、机や椅子のような物体というのは存在しておらず、そこにあるのは「机の形に集まっている原子のようなものの集合」や「椅子の形に集まっている原子のようなものの集合」でしかないのです。
メリックス教授のセオリーのおもしろいところは、上に挙げたような普通の物体は存在しないのに、それでも「人間」は存在する、と主張する点です。人間はただの原子のようなものの集合ではないのです。
このようなラディカルな理論は学界でも相当珍しいもののようです。そんな変わった考え方のメリックス教授による形而上学のゼミを、僕は来学期取ることになってます(笑)。
05/10/2007
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