07/26/2007

哲学は子どもの遊び

「子どもの遊びと一緒だよ」と言われることが、哲学や芸術にとっては最高の褒め言葉です。子どもの遊びのように、まったく何の役にも立たないようなことが(子どもにとっては)一番おもしろいのです。

* * *

せっかくフランスに来たのだから、子ども向けのフランスの歴史の絵本を買って帰ろうと思って、僕はその日ある本屋さんの子どもの本のコーナーを見ていました。

すると、歴史の区画の終りに「Philosophie」というタグがあって、なんとそこから書棚にして二段分くらい子ども向けの哲学の本が並んでいたのです。

072501.jpg

おぉ、これはすごい、と感心して一冊買ってしまいました。これはPhiloz'enfantsというシリーズの中の『Le beau et l'art, c'est quoi?(美と芸術、それってなに?)』という本です。

裏表紙には「Penser est un jeu d'enfant !(考えることは子どもの遊び!)」というスローガンが書かれていて、対象年齢は7才以上となっています。

* * *

哲学は誰もを平等に扱うので、子どもだからといって簡単な質問でお茶を濁すということはしません。Philoz'enfantsのシリーズでは「幸せってなに?」、「感情ってなに?」、「人生ってなに?」、「自由ってなに?」、「自分ってなに?」、「みんなで生きるってなに?」等々、人間の脳髄が2000年以上も問い続けてきた問題がテーマになっています。

僕の購入した『Le beau et l'art, c'est quoi?』では「美とは何か」、「美を理解しなければならないか」、「芸術は何のためにあるのか」など、美学・芸術学・批評における最も基本的で最も難しい6つの問いが取り扱われています。

072502.jpg

構成としては、まず問題が掲示され、これに対して一つの答えが提案されます。例えば、「美を理解しなければならないか」という問いに対して「いいえ、だって美を知るためには作品を見たり聞いたりするだけで充分だから」という答えがだされます。

そして、この答えの問題点が反問の形で幾つか掲示される、というわけです(例えば上の答えに対しては「それじゃあ動物にもなにが美しいか知ることができるの?」、「それじゃあ目と耳が不自由な人は美を知ることはできないの?」等)。

つまり、(難しい言葉でいうと)弁証法的なメソッドで議論が進められていくわけです。このようにいくつかの暫定的な答えが考察された後、最初の大きな問いを深めるような簡単なまとめで章が締めくくられる、と。

* * *

う〜ん、こんな素晴らしい本が普通の本屋で普通に売っているとは、さすがインテリの国フランス、高校で哲学が必修科目になってるだけあるな、と思ってしまったわけです(実際どの本屋でも哲学書のコーナがやたらに広い)。

ところがところが、今日地元の本屋さんになんとなくいってみたら、なんとこのPhiloz'enfantsのシリーズの邦訳版が(2冊だけでしたが)売られていたのでした! 監修は作家の重松清さんです。人間というのは馬鹿じゃないから、やっぱり本当にいいものは広まるのだなぁ、という気がします。

posted by Yuuki at 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | On Schooling/Education
Comments to this post
Post a comment
Name: [required]

Email:

Web:

Comment: [required]

Code: [required]


*画像の中の文字を半角で入力してください。
*Please enter the word in the image.


“Preview”で確認後、“Submit”で投稿して下さい。
TrackBack URL for this post
http://blog.seesaa.jp/tb/49216102

Trackbacks to this post